あなたの睡眠は足りていますか?

ようやく、寝苦しい夏の夜から解放され、布団が気持ちいい季節になりました。

健康管理の3本柱は「食事」「運動」「休養」と言われます。休養と大きく関係する睡眠ですが、日本人は他の国と比べ、働く世代と子どもの睡眠時間が世界で最も短いそうです。

日々の睡眠不足が積み重なると、自分でも気づかないうちに体調を崩す睡眠負債も起こります。睡眠不足では、食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌が減少し、食欲を高めるホルモン(グレリン)の分泌が増え、食欲が増して肥満にもつながりやすくなります。

慢性的な寝不足状態では、糖分、塩分、脂質の高い食べ物への欲求も高まると言われ、糖尿病や心筋梗塞や狭心症などの生活習慣病に罹りやすいこともわかっています。

死亡率が一番低い睡眠時間の平均は6.5~7.4時間で、極端に短くても長くても死亡率は高くなりますが、最も良い睡眠時間は個人差が大きく、年齢や体調によっても異なります。

また、時間だけでなく睡眠の質も大きく左右します。

睡眠が足りているかどうかの見分け方

適切な睡眠時間がとれているかどうかは、休みの日の起床時間から判断できます。

普段から十分に睡眠をとっていれば、いつもと変わらない時間にすっきりと目覚めることができますが、普段より遅く起きる、すぐに2度寝してしまうような場合には、寝不足の可能性があります。

質のいい睡眠にするための鍵

そうは言ってもライフスタイル上、睡眠時間の調整が難しい人も多いかと思います。

そこで、質のいい睡眠が取れる方法についてお伝えします。質のいい睡眠にするポイントは、睡眠を誘発し、深い睡眠を促進してくれる体内時計ホルモン(メラトニン)の分泌を増やし、効き目をよくすることです。

人は、活動する日中には脳の温度を高く保ち、夜間は体から熱を逃がして脳を冷やします。メラトニンは、体温の低下と共に分泌量が増えるので、就寝前の脳の変化を妨げずに、自分にあったリラックス方法を工夫することが大切です。

具体的な方法

①体温を調節するために、寝る2時間前の入浴

入浴は、心身の緊張を和らげ、心拍数を抑えることで疲労軽減、リラックス効果などが期待できます。入浴により上昇した体温が下がるタイミングに布団に入ると、メラトニンの働きを助け、より深い睡眠を得やすい体内環境をつくることができます。

②食事のタイミング

寝る直前の食事は、食べたものを消化するために内臓が働くため、体温が下がりづらく眠りの質が悪くなる原因となります。眠る直前は食べ過ぎず、消化のいいものを食べるのがおススメです。

③明るい照明を避ける

蛍光灯やLEDライトなどの青色光、テレビやスマートフォン、パソコンなどの強い光を浴びるとメラトニンが分泌される時間が遅れるため、入眠しにくく、深い睡眠を得るまでに時間がかかり、浅い眠りになるリスクが高くなります。一方、起床時に明るい光を浴びると、一日の体内時計がリセットされ、夜の睡眠の質もよくなりやすくなります。体内時計のリセットには、朝食も大事な要素です。

お好みのリラックス方法で

イライラや心配事などのストレスを感じていると、交感神経が優位になったままの状態になっていて、スムーズに入眠できません。副交感神経を優位にするストレッチのような静かな体操、腹式呼吸、音楽や香りなどを利用するなどリラックスできる状態を作ってあげましょう。一方、寝酒は、リラックスできて寝付きもよくなりますが、眠りが浅くなり睡眠の質が悪くなります。

【参考文献】
星川雅子:1日の疲れをリセットする適切な睡眠時間と就寝方法.コーチングクリニック2019.9,ベースボールマガジン社
中村好男監修:職場のメンタルヘルスケアと実践,講談社