夏は食中毒にご注意

高温多湿な6~10月は、食中毒の原因になるO157やサルモネラなど、細菌性食中毒の細菌の増殖条件がそろいやすくなるため、食中毒の発生件数が増えます(注 ノロウイルスなどによるウイルス性食中毒は冬の時期に流行します)。食中毒の細菌が増殖するには、温度・湿度・栄養の3つの条件が関係します。

増殖する条件

温度:病原菌の増殖適温は、最近の種類により異なるが、大部分は36℃前後で最もよく増殖する
湿度:水分を多く含む食品ほど増殖しやすい
栄養:食品そのものや調理器具についている残さや汚れが細菌の栄養源になる

食中毒の予防

食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、やっつける」です。そのために、以下の6つに気をつけると予防の三原則を実行することができます。

①食品の購入

  • 肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物で、消費期限などの表示のある食品は、確認して購入する。
  • 購入した食品は、肉汁や魚などのドリップがもれないように、それぞれビニール袋などに分けて包んで持ち帰る。
  • 冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品の購入は、買い物の最後にし、速やかに持ち帰る。

②家庭での保存

  • 冷蔵や冷凍食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる。
  • 冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意。使用目安は、容量の7割程度。
  • 庫内温度の目安は、冷蔵庫10℃以下、冷凍庫-15℃以下を維持(細菌の多くは、10℃は増殖がゆっくりとなり、-15℃では増殖が停止するが、細菌が死ぬわけではないため、早めに使いきりましょう)。
  • 冷蔵庫や冷凍庫の庫内で、肉や魚などのドリップが、他の食品にかからないようにする。

③調理の下準備

  • 台所は清潔か。ゴミは捨ててあるか? タオルやふきんは清潔なものと交換してあるか? 調理台の上はかたづけられているか?
  • 調理前の手洗い、生の肉、魚、卵を取り扱った後、途中で動物に触わる、トイレ、おむつ交換、鼻をかむなどした後の手洗いも忘れずに。
  • 肉や魚などのドリップが、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにする。
  • 包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用とできるだけ使い分ける。1枚のまな板を使う場合は、生の肉や魚を切った後、果物や野菜などの生で食べる食品や調理の終わった食品を切らない。
  • 冷凍食品の解凍は、室温に放置せず、冷蔵庫の中や電子レンジで行い、解凍が終わったらすぐ調理する。
  • 冷凍や解凍の繰り返しは食中毒菌増殖の可能性があるため、冷凍と解凍は1回の料理に使う量にする。
  • 包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使用後すぐに、洗剤と流水で良く洗う。熱湯をかける、塩素剤などを使用すると消毒効果がある。

④調理

  • 加熱が必要な食品は、中心部の温度が75℃で1分間以上を目安に十分に加熱する。
  • 電子レンジの使用は、電子レンジ用の容器とふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜる。

⑤食事 

  • 食卓に付く前に手洗い。
  • 清潔な器具で、清潔な食器に盛りつける。
  • 温かい料理は温かいうちに、冷たい料理は冷たいうちに食べる。
  • 調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置しない。

⑥残った食品の管理

  • 残った食品は早く冷えるようにし、きれいな器具や皿を使って保存する。
  • 残った食品の温め直しも十分に加熱する。
  • 見た目、臭いが怪しいと思ったら、食べずに廃棄する。

食中毒は、飲食店などで発生するだけでなく、家庭からも発生します。食中毒の原因となる細菌が、手や食品などについていても一定量以上、増殖しなければ発生を防ぐことが可能です。まずは、調理や食品に触れる時の手洗いと、上記①〜⑥までを振り返り、できていないことがあれば改善しましょう。