効果の異なる運動の種類を理解しよう
気になる生活習慣をたずねると、「運動不足」と答える方がかなりの確率でいらっしゃいます。身体活動※は、「安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全ての営みのこと」と定義され、健康や体力の維持・向上を目的に、余暇時間に意図的行うものはすべて「運動」になります。スポーツジムに通わなくても、健康を意識して、帰りに一駅分歩いたり、できるだけ階段を使っている人は、「運動」をしていることになります。
※身体活動=運動+生活活動
前回のコラム「座っている時間が体型を決める」で、生活活動の大切さについてお伝えしましたので、こちらも合わせてご覧ください。
運動は、主に「有酸素性運動」「筋力トレーニング」「柔軟運動」の3つに大きく分けられます。それぞれに期待できる効果が違うので、目的に合わせた運動を選ぶことが大切です。
運動は、刺激を与えたことにしか効果が得られません。
例)持久力のつくトレーニングをしても短距離走は早くならない。
そのため、3つの運動組み合わせて行うと、より効果が高くなったり、それぞれの欠点を補うことができます。
運動前に、動的ストレッチでウォーミングアップをするとケガ予防やパフォーマンスアップにつながります。逆に運動終了後に静的ストレッチをすると血流が良くなり、疲労物質の乳酸の流れが促進され、疲労回復に効果があります。
また、筋力トレーニングを行うと、成長ホルモンが分泌され、代謝が亢進された状態になります。この状態で有酸素運動をすると、脂肪の燃焼が促進されますので、減量の効果が向上します。
古くから伝わるヨガや太極拳には、3つの運動要素が含まれているそうです。
3つの運動についてまとめてみました。
有酸素性運動 |
筋力 |
ストレッチ |
||
---|---|---|---|---|
静的ストレッチ |
動的ストレッチ |
|||
特徴 |
体内に酸素を取り入れながら全身の筋肉を使い、長時間続けることができる運動 |
自分の体重、ダンベル、マシンなどで抵抗を加えながら筋肉を強化する運動 |
筋肉や関節の柔軟性を高める運動 クールダウン |
関節の動きをよくするような運動 運動を始める前 |
代表的なもの |
ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど |
腹筋、スクワット、ダンベルなど |
柔軟体操 |
ラジオ体操、準備体操など |
期待できる効果 |
体脂肪の燃焼で肥満改善と予防、血中の脂肪減少、血中の糖質の消費 |
加齢による筋肉量の減少を予防 筋肉を動かす神経の働きを改善し、筋力を高める |
こりや疲れがほぐれ、リラックス 副交感神経の働きが活発になり血管が柔らかく、広がることで動脈硬化の予防、血圧が下がる |
運動前に行うと、関節の可動域が広がり、交感神経が活性化し、瞬発力が出やすく、ケガを予防する |
ポイント |
「ややきつい」と感じる強さを続けることで、心肺機能もアップ 姿勢や、強度も意識する |
血圧が上がるので、息を止めない 正しいフォームで、10回3セットで狙った筋肉が疲労する強度が効果的 |
反動はつけず、伸ばしている筋肉に意識を集中、気持ちの良い程度で、自然な呼吸で30秒以上かけてゆっくり伸ばす |
腕や足などをさまざまな方向に動かし、関節をダイナミックに動かすことで筋肉を伸ばす |
日本人の死亡に関連する危険因子では、1位喫煙、2位高血圧に次いで運動不足が3位だという報告がされています。運動することは、心臓や血管、筋肉などさまざまな臓器や組織の機能を高め、心筋梗塞や脳梗塞だけでなく、がんの予防の効果も期待できることが報告されています。
運動は、習慣にすることが大切です。
これまで運動をしていなかった人が、急に強度の強い運動をすると、体に悪影響を及ぼす可能性もあります。自分の体の様子をみながら、負担のないできることから、徐々に強度を上げていきましょう。